2010年02月21日

あるオッサンの地獄からの生還

今回は少々、長いです。




底辺の世界でも「ペイフォワード」



借金地獄から大繁盛の居酒屋経営までの軌跡

〜 あるオッサンの地獄からの生還 〜




ご存知のとおりワシは元ヤクザの幹部、

ご多分に漏れず日々のシノギは・・・

ノミ屋、繁華街の仕切り、金貸し、雀荘、ゲーム喫茶……と

いわゆる底辺に巣食う生き方。



そう書けば、悪行三昧の暴利を貪るように聞こえるかもしれんが

結果的には人の為になる事をした経験もあります(笑



自分を正当化するつもりはありませんが、

ヤクザだからといって血も涙もない人間じゃございません。

子供もいれば妻もいる。



ワシもこの世界に入るとき、父親との約束もある

メルマガの題名通りの、警官だった父との約束

・堅気の人を泣かせるな

・覚せい剤に手を出すな

ま、今回その話は置いといてヾ(¬。¬ )




ワシらヤクザは「生き方」つまりカネを稼ぐ手段が

世間一般とは違うだけです。

前置きはこれくらいにして




ワシの仕事のひとつである金貸し、つまり金融でんな

ヤミ金というやつです。…( ̄、 ̄

しかしワシはあまりあこぎな事はしなかった

しかも一般の庶民を泣かせるような事は絶対に



大抵は同業者(つまりヤクザ)か、出入りしている人間に
貸し付ける



そんな客の一人の人生の一部分

ひとりの人間の生き方の一部を紹介したい






その男が初めて現れたのは、私が経営していた喫茶店。

いわゆるゲーム屋である。




暇つぶしに、自分の店でゲームを回していたところ、

たまたま斜め向かいの席に二人で座った五十がらみの男。

それまでにもゲーム賭博を行った事があるらしく、
店員のネエチャンを呼んで

千円札を数枚差し出した。

一時間ほど経った頃だろうか、

「チェックして」

とネエチャンを呼び、数字を確認したネエチャンが
10万円ほど手渡した。




・・・ゲームの点数にカネを賭けて、上がった点数を買い取る、
というのがゲーム屋の仕組み。



パチンコと同じでゲーム機は圧倒的に店が勝つようにプログラムされている。

何十回に一回くらいの割合で、客が10〜20万円ほどのカネを持って帰れるようになっている。

ゼニに余裕のある人間が、遊びと割り切って、「程々」にスリルを味わう分には
面白いものや。




客層は様々で、タクシーの運転手、何処かの小金持ちの店主、呑み屋のママ……

まれにサラリーマンもいるが、大抵はサラ金地獄に陥っており、
そのうち来なくなる。




私が見てきた中には、100万円ほどつぎ込んだあげく、一度外に出て金を調達して来て、

更に数十万円を一瞬で使い果たし、挙句には

「この機械を売ってくれ!」

と言い出す輩もいた。


               

話を戻そう



「その男」は賢く、大負けもしなければ、
ヤケになってカネをつぎ込むようなマネもしなかった。


あとで聞いたが、その当時はホテルの料亭で板前をしていたらしい

一緒に連れ立って来ていた男が、通い慣れた風の男だった。




当然、ギャンブルに興味がある人間というものは、
他のギャンブルにも手を出す確立が高い。

いわずと知れたその男も、競輪が好きだった。



ワシの仕切るノミ屋にも通すようになり、
負け分を持ってくる事もしばしば…

浮き上がったり沈んだり、使える範囲内でいる内はまだ救われる


しかし、のめり込んだら・・・
つまり、負けを取り戻そうと焦りだすと盲目となり、

あっと言う間に無間地獄に陥る。




サラ金に手を出して返済しながら借金を繰り返す、

やがてどうにもならなくなる

今の社会では、弁護士や司法書士に頼んで、ある程度の整理は
つくようになっている。

金融業者も規制が厳しいから、一定のラインで手を打つわけだ。



しかし、まず自分で何とかしようと思うのが普通の考え、

つまり法的に片付けようとなると弁護士費用やら、
手続きのための時間、手間、

そして大方の借金人間がそうであるように、

連帯保証人との関係

だから借金して借金を返済という自転車操業となる




そして




次に手を出すのが「ヤミ金」


途中の話は省略するが……

ワシの系列で金融をしていた男から相談があった。




件の男の取立てである

ワシはむやみに脅したりすかしたりはしない。

それぞれ立場のある人間だから、それを殺さず、
取れるようにしておかねばならない



話を聞いた場所はにぎわっている居酒屋


映画やドラマのシーンのように、堅気の衆を事務所に呼びつけたりはしない

これは世間一般でも言える事だが 
「込み入った話」 というものは、

例えば別れ話などでも、そんなときは静かなところよりも、
多少ざわついている場所の方が話を進めやすい

主導する方もされる方も…だ。


取り引き話のテクニックとして覚えておいて頂きたい。




ワシが手を差し伸べたのは

「返せるように働かせてくれ」

という言葉だった・・・・・


借金がかさむと必然、返済も滞るようになる。

取り立てが職場にも及ぶ、当然、職場にも居辛くなる

ご多分にもれず仕事を辞めなければならない状況となった


しかし次の仕事を探さねば生きて行く事すらままならない




ワシの周りから、
人手が足りないと聞いていたオシボリの配達をあてがった。



店を構えさせるという考えが浮かんだのは間もなく、
すぐさま男に持ちかけた。



「わし、さほどの人脈も、ましてやご存知のように借金を抱えて
一円の資金もおまへん、それでも出来ますやろか?」


「やらにゃ生きて行けんやろう、アンタにゃ腕があるだろ?」




この不景気な御時世、敷金礼金ゼロの店舗は、
駅前という好条件といえど幾らでもある

決めたのは、駅から徒歩10分ほどの場所、
企業や役場の通勤路

帰りのヒトの流れも期待できる。


それよりも何よりも、
味は客を呼ぶ、
人柄は客を呼ぶ、ということ。




さて、荒れ果てた店内をどうしたものか?

その男の人脈と言えば以前の職場、これは期待できない

次に、出入りしていたゲーム屋

此処には沢山の常連がいる、
同じような境遇の人間が底辺で生きている

しかし、ワシが感じていたのは、このような境遇の人間の人脈も
馬鹿にはならんということ。



そんな常連仲間の行動はというと……



ある食堂の店主のところには、昼食時には常連客でいっぱいになる。

他にも、電気店のオヤジの店からみんな家電を買う、
地域に量販店があるにも関わらず、だ。

電車を下りても駅待ちタクシーには乗らず、
顔見知りの運転手を電話で呼び出す。


取り決めなどしていない。

みんな仲間内で助け合おう、と無言の結束があるようだ。



あるオヤジ曰く

「ワシら、狭い世間でしか生きて行かれんし、
どうせなら同じメシ喰うのも、仲間の店に行けば、
おかずの一品もつけてくれるし…という考えですわ」


「一人ひとりはガラクタかも知れんが、皆で助け合ったら、
何かできる思いますねん、そしてそれぞれチカラをつけたら、
こんな澱みから出てって、大きな事やればいい」


ワシも多少なりと強い立場から、周りの皆には指図する事もある。

「今度、誰々の店の修繕を手伝ってやれ」 だの

「○○5周年記念やから景気づけに行ってやれ」 だの



今回も然り

「だれか周りに大工と設備屋おらんか?」


大工は自分の仕事帰りに、1〜2時間ほど、その改装工事にとりかかる。

設備屋は、解体現場から持ち帰った使える商品を持ち込む

什器備品は、飲食店仲間が持ち寄る……

他にも……




そして、そんなみんなへの報酬は……



オープン時に振舞われる 「一杯の生ビール」


仕入れの酒屋はゲーム喫茶の出入り業者、最初のひと月だけは喫茶店のツケ


かくして、居酒屋はオープン


紹介で客を回し、その客が他人を呼ぶ


もちろん本人の努力なくして客が客を呼ぶ店に……なんてことは叶わない

板前の経験を生かして、仕入れから調理まで、いいものを提供すれば客筋もよい


すでに5年目


借金は完済


先日も「スジコの良いネタが入った」と電話があったので、妻と立ち寄った


「明日は早朝から、○○(仲間の家)の草狩りですわ、10人ほど来るので朝のうちに終わると思いますけど、雨降らなきゃいいが・・・」 と男は笑った。




posted by 賢 at 14:26| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今日たまたまこのサイトをみつけて、興味深く読ませていただいてます。

この話は、なんか、いい話だな〜っておもいました。

特に、今日の日記のかなでは、一人一人はガラクタかもしれないけど、皆で助け合ったら何かできるかも、そしてこんな澱みから
抜け出せたら、大きなことやればいい、、、この辺が得に好きです。
Posted by ASIA at 2010年04月01日 12:02
コメントが反映されてない、、、、。何故?
とても、興味深い日記ですね。

また更新楽しみにしています。

でも、なんで、前にコメしたの消えてるのかなぁ???残念、、、。
Posted by ASIA at 2010年04月01日 12:16
私も 少しヤクザに憧れた時がありました やはり 一生親 兄弟に迷惑をかけないと思いまして 二十歳から結婚をしました 普通の会社員になり今を過ごしています
Posted by 立沢 広 at 2012年06月22日 22:05
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